ガバナンス
イノベーション・マネジメントの体制
当社は、テクノロジーとイノベーションによる市場価値創出のさらなる推進を目指す組織体制として、2026年4月より、新たに研究&事業開発関係部門およびプロダクト&サービス関係部門を発足させました。研究&事業開発関係部門は、研究開発、事業開発、知的財産の利活用等を担当し、プロダクト&サービス関係部門は、製品・サービスの提供、マーケティング戦略の立案、ビジネスプロセスの改革およびお客さまを未来に導く価値創造モデル「BluStellar」の事業推進を担当します。今後、これらの部門を一体的に運営することにより、技術の進展が社会や産業にもたらす変化をいち早くとらえ、市場のニーズに対応した製品・サービスを当社の最先端技術を用いて開発し、お客さまに迅速にお届けします。
これに加えて、2018年にシリコンバレーに設立したNEC X社では、当社の人材と技術を核に、現地エコシステムと連携したオープンイノベーションを推進し、社会にインパクトを与える新たな事業の創出を目指しています。さらに、異業種7社と連携した共創型R&DのジョイントベンチャーであるBIRD INITIATIVE(株)やCorporate Venture Capital(CVC)機能、ビジネスコンテスト、日本国内で新たに立ち上げたスタートアップスタジオなど、多様な取り組みを通じて、新規事業開発による価値創造を加速しています。
1. グローバルな社会価値創造を目指す研究開発拠点
NECグループでは、国内のみならず、北米や欧州等にも研究拠点を設置し、グローバルな知見を活用した研究成果を創出する体制を整えています。
考え方
イノベーション・マネジメントの方針
当社では、最先端技術を、当社自身を最初の顧客として自社で使いこなして知見を蓄えるクライアントゼロの取り組みに活用しています。当該取り組みを通じて得られた実証的な知見は、お客さまを未来に導く価値創造モデル「BluStellar」における製品・サービス群に組み込み、社会およびお客さまに対する新たな価値提供へとつなげています。NECグループにおける研究開発活動は、NECグループの競争力の源泉であり、NECグループのAI ネイティブカンパニーへの変革およびBluStellarの拡大を技術面から支え、ITサービス事業および社会インフラ事業の持続的な成長に貢献しています。
技術開発戦略
NECグループは、安全・安心・公平・効率という社会価値を創造し、誰もが人間性を十分に発揮できる持続可能な社会を目指しています。その実現に向けて、社会価値創造の軸となる既存事業を発展させる技術や、社会に新たな価値を提供しうる将来事業向けの先進的な技術を創出し、その事業化を加速することで、NECグループの持続的な発展を支えていきます。
研究開発については、AIやセキュリティの技術領域およびこれらを支えるプラットフォームの技術領域の強化に取り組んでいます。具体的には、AIの技術領域では、業務の自律化・高度化を担うAIエージェントの開発を進める一方で、AIの信頼性を担保する安全性・倫理性の高度な管理技術を確立し、人とAIが協調して働ける社会を推進していきます。セキュリティの技術領域では、AIを活用し、特定の業種やシステムへの攻撃傾向等をふまえて脅威情報を分析し、脅威の切迫度に応じた対処につながる知見の体系化に向けた技術開発を進めています。これにより、業種ごとに異なるリスク特性に応じた実効性の高いセキュリティ運用を支援していきます。また、高度な情報操作リスクに対処する技術の開発を通じて、デジタル社会における信頼性の確保と情報基盤の健全な発展に貢献します。プラットフォームの技術領域では、経済安全保障の観点からも重要性が高まる光海底ケーブルシステム技術や量子暗号通信などのセキュアなネットワーク技術を用いて、より信頼性と安全性の高い社会インフラの構築・維持に努めます。
統合レポートイノベーション:R&Dと事業開発
研究開発(R&D)
BluStellar AI‐変革を成功に導く、安全・安心なAI
NECの生成AI(NEC Generative AI)
新規事業開発戦略
当社は創立以来、イノベーションを核に、社会価値の創出を通じて持続的な成長を追求してきました。2013年には新規事業開発を担う専門部署を設置し、以来、社会課題を起点とした多角的な価値創出に取り組んでいます。
その取り組みを加速するため、2025年2月にオープンイノベーションの機能や活動を「NEC Open Innovation」として体系化しました。オープンイノベーションを成長エンジンと位置づけ、外部の技術・アイディアを自社に導入する「インバウンド型」と、当社の技術・知見を外部に提供する「アウトバウンド型」の両輪で、スタートアップやパートナー企業との共創を通じた新規事業開発を加速し、社会価値を創造していきます。
NEC Open Innovation
イノベーションに関する取り組み
企業価値向上に資する主な研究成果の事例
NEC、生成AIやAgentic AIを活用したセキュリティサービスを販売開始
NEC、企業ノウハウをAIエージェントで自動抽出・組織資産化し、デジタル業務の自動化を実現するソリューションの提供を開始
NEC、調達交渉を自動化するAIエージェントサービスを提供開始
がん研究会とNEC、全ゲノム解析による新たな個別化ネオアンチゲンがんワクチンの開発に向けた基礎研究の成果を確認
オープンイノベーション
社会価値と企業価値の両立に向けて、「NEC Open Innovation」というオープンイノベーション活動を展開しています。
これは、社内外の知見・技術・人材をつなぎ、多様な社会的課題に応える新規事業創出を継続的に生み出すための中核的な仕組みです。
1.「NEC Open Innovation」の機能群
- スタートアップ投資(NEC Orchestrating Future Fund ほか):
スタートアップへの戦略的投資を通じて、新たなビジネス機会と社会的価値を共創 - NEC Innovation Challenge:
グローバルのスタートアップ企業を対象としたアクセラレータープログラムにより、革新的アイディアの共創機会を創出 - NEC X社:
当社の最新技術とシリコンバレーのエコシステムで起業家の立ち上がり期を支援
2025年12月より日本向けスタジオ「NEC X - JAPAN Edition - 」を開始 - 先端技術コンサルティング:
研究者が企業のDXや高度な技術活用を伴走支援し、技術の社会実装を実現
当社はこれらの包括的なオープンイノベーション機能を活かし、柔軟かつ多角的な共創を国内外で展開しています。幅広い技術・事業領域と体系的なノウハウ・支援体制を基盤に、社会課題解決に向けた新たな事業創出を目指しています。
NEC、伊藤園にマーケティング施策立案ソリューション「BestMove」を提供開始
NECのオープンイノベーションの取り組み「NEC Open Innovation」が2025年グッドデザイン賞を受賞
住友ゴムとNEC、世界で競争力のある研究開発基盤の構築に向け、戦略的パートナーシップ活動を加速
NEC Orchestrating Future Fund、顔認証決済サービス事業者のPopIDへ出資し、本格協業を開始
NEC、新規事業の企画書をAIで診断するサービスを提供開始
NEC、「Africa Corporate Innovation Program」を開始、アフリカスタートアップとの共創により事業を加速
NEC、経団連「第4回スタートアップフレンドリースコアリング」で5位にランクイン! 2年連続トップ10入り
研究開発費用
研究開発費用は、注力領域へ集中的に投資するとともに、外部の研究機関との連携などにも投資しています。2025年度の研究開発費は、1,052億円でした。
知的財産に関する取り組み
1. 知的財産力の強化を担う知的財産&ルールメイキング部門
当社の知的財産&ルールメイキング部門では、グローバル知的財産ポートフォリオ構築・活用のため、関係部門、グループ会社に設置する知財責任者と連携する知財戦略推進体制を構築しています。また、ビジネスチャンス拡大に向け、さまざまな知的財産を活かしたライセンス活動や積極的なAI活用、標準を戦略的に活用するためのルールメイキング・政策提言に取り組むための体制を構築しています。
2. 知的財産戦略
当社は、成長事業を牽引し、次なる成長の柱を生み出す技術領域の知的財産を注力領域として特に拡充しています。知的財産を事業競争力や事業安定性を支え共創を促進する重要な経営資源と位置づけ、営業活動での活用やライセンス活動の強化、ブランドを支える意匠権や商標権の拡充・活用などにも取り組んでいます。知的財産の活用によりイノベーションを促進し、企業価値向上に貢献しています。また、NECグループ全体の知的財産リスクマネジメントを実行するためのグローバルなガバナンス基盤を強化しています。
2.1. 知的財産DXへの取り組み
当社は、自社の知的財産業務において生成AIやRAG(検索拡張生成)技術を積極的に活用し、先行調査・明細書作成支援・権利化判断など一連の知財業務プロセスの高度化・効率化を推進しています。社内での実践を通じて蓄積した知見・ツール・業務ノウハウをもとに、知財DXソリューションの外部企業への提供も開始しており、知的財産を軸とした新たな事業価値の創出に取り組んでいます。自らが知財DXの実践者であることを強みとして、顧客企業の知財部門が抱える業務負荷の軽減や意思決定の迅速化に貢献し、日本企業の知財競争力向上を支援していきます。
NECの知財DX事業
3. 標準化戦略
当社は、ビジネスチャンスの拡大を図るため、先進技術を普及促進し社会受容性を高める標準化活動を戦略的に推進しています。AI/生体認証、情報通信や量子コンピューティングなどの重要な技術分野において、標準化委員会の委員長などの重要な役職を担い、国内外の標準化活動にて主導的な役割を果たしています。また、ビジネスをより強固にするため、標準化関連特許の件数増や活用を進めています。
3.1. 標準化活動の推進に関する取り組み事例
2026年1月に、内閣府と経団連が設置した国際標準に係る「官民ハイレベルフォーラム」において、当社の遠藤信博特別顧問(知的財産・国際標準戦略委員長)が、小野田紀美内閣府特命担当大臣(知的財産戦略)とともに共同議長に就任し、初回総会にて「国際標準・国際ルールに関する行動宣言」を実施しました。当社は、官民一丸となっての戦略的・能動的に国際標準化の推進に貢献しています
国際標準 官民ハイレベルフォーラムを設置(週刊 経団連タイムス2026年2月19日 No.3718)
国際標準・国際ルールに関する行動宣言
当社のメンバーは政府の知的財産関連のさまざまな役職に就任し、日本の知的財産政策推進に貢献しています。
- 遠藤特別顧問:内閣府の構想委員会委員、国際標準戦略部会座長、国際標準に係る官民ハイレベルフォーラム共同座長および日本産業標準調査会、情報通信審議会の両会長
- 和田Corporate SVP:産業構造審議会 知的財産分科会委員および特許庁政策推進懇談会メンバー
- 井本知的財産&ルールメイキング部門主席プロフェッショナル:産業構造審議会 知的財産分科会 特許制度小委員会委員
4. 知的財産活動に関わる成果など
- クラリベイト・アナリティクスの「Top 100グローバル・イノベーター」を15年連続で受賞(15年連続受賞はワールドワイドで16社のみ)
Clarivate「Top 100 Global Innovators」に15回連続で選出
- Law Business Research Limitedが発行する知的財産メディアIntellectual Asset Management(IAM)より、「Asia IP Elite 2025」に選出
- 知財・無形資産ガバナンス推進協会(IPIAGPA)が表彰する「知財・無形資産ガバナンス表彰(2025年度)」において、財務・非財務の統合・すべての企業活動をデザインしブランドを再設計する取り組みが評価され、優秀賞を受賞
NEC、「知財・無形資産ガバナンス表彰」において優秀賞を受賞
- 社会課題解決に取り組むスタートアップ企業支援として、Piece Future社IP Hatchプログラムを通じ、これまでのべ6社に対して特許を譲渡済みです。環境価値可視化ソリューションなど先進的なスタートアップ企業への特許譲渡を通じ、社会課題の解決と新たな価値の創出に貢献しています。
NECが保有特許の譲渡により、地球環境変化の可視化という社会課題解決に挑むシンガポールのスタートアップ企業を支援
知的財産活動の詳細は下記を参照ください。
NECの知的財産
保有特許件数
質の良い特許の比率を増加させ、活用方針に合わせて適切な量を適切な国で保有するために新たな特許獲得と定期的な棚卸を行い、特許ポートフォリオ全体の価値を向上させる活動を推進しています。
2025年度の保有特許件数はNECグループで約40,000件です。
1. 注力領域への集中(注力領域が占める割合)
- 出願*1 全出願の45%(2017年度末)→81%(2025年度末)
- 保有*2 全保有の44%(2017年度末)→68%(2025年度末)
*1 NECグループの日本出願+直接PCT出願が対象
*2 NECグループの全保有特許権が対象
- 日本特許登録数・ランキング(分野別)*3 コンピューターテクノロジー 588件(1位)
- 日本特許登録数・ランキング(分野別)*3 ビジネス方法 362件(1位)
- 日本特許登録数・ランキング(分野別)*3 制御 256件(2位)
- 日本特許登録数・ランキング(分野別)*3 デジタル通信 279件(4位)
- 日本特許登録数・ランキング(分野別)*3 電気通信 90件(4位)
*3 2024年の登録数。特許行政年次報告書2025年版より。分野は特許庁定義によります。
保有特許件数(データ集)