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担当領域:認証基盤サービス情報セキュリティ基盤運営(ISMS、J-SOX対応、セキュリティ運用DX)/専門分野:認証基盤、サーバ証明書・電子証明書
NECグルーブの情報セキュリティ基盤の運営を担当。保有資格:ISMS 審査員補、ITストラテジスト、プロジェクトマネジメント、ITサービスマネジメントなど。

本記事では、NECグループの取り組み事例を交え、メールセキュリティの最新動向と実践例をご紹介します。
特に、S/MIMEの全社導入事例について、導入の背景・技術的構成・運用の工夫・成果・今後の展望をご紹介します。

1.はじめに

サイバー攻撃の高度化・巧妙化が進む現代、企業にとってメールセキュリティは最重要課題の一つです。
本記事では、NECグループの取り組み事例を交え、メールセキュリティの最新動向と実践例をご紹介します。
NECグループでは、ゼロトラストの考え方を基盤に、なりすまし・フィッシング・内部不正など多様な脅威に対応するため、技術と運用の両面からメールセキュリティ強化を推進してきました。

2.NECグループのメールセキュリティ全体像

NECグループでは、技術的防御と人的対策を組み合わせた多層的なメールセキュリティを実践しています。具体的には、アンチウイルス・アンチスパム・サンドボックス等の技術導入に加え、従業員教育や疑似攻撃メール訓練などの啓発活動も重視しています。

図1:NEC「サイバーセキュリティ経営報告書2025」より

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3.S/MIMEとは? その仕組みとセキュリティ上の重要性

S/MIME(Secure/Multipurpose Internet Mail Extensions)は、電子メールにデジタル署名を付与する国際標準化規格で、メールの暗号化通信に利用することもできます。
なりすまし防止、改ざん検知、盗聴防止など、メールの信頼性・機密性を高める技術として、グローバルに採用が進んでいます。

4.DMARCとは? その仕組みとセキュリティ上の重要性

DMARC(Domain-based Message Authentication, Reporting & Conformance)は、メールの送信ドメイン認証技術の一つで、なりすましメールやフィッシング詐欺を防ぐための国際標準規格です。
SPF・DKIMと連携し、ドメイン管理者がポリシー設定やレポート機能を活用することで、ブランド保護や信頼性向上に寄与します。

5.S/MIMEとDMARCの併用による多層防御の意義

DMARCは「送信ドメインの正当性」を技術的に保証し、なりすましメールの“入口”を防ぎます。一方、S/MIMEは「メール本文や添付ファイルの改ざん・盗聴防止」「送信者本人性の証明」を担います。
この2つを併用することで、ドメインレベル(DMARC)と個人レベル(S/MIME)の両面から、なりすまし・改ざん・情報漏洩のリスクを多重に防御できます。
企業のメールセキュリティ対策として、国際的にも推奨される組み合わせです。

NECグループでも、両技術を併用した堅牢なメールセキュリティ体制を構築しています。

6.NECにおけるS/MIME・クライアント証明書導入の背景と狙い

NECグループでは、2015年より多要素認証強化の一環としてクライアント証明書を導入。個人認証や電子メールの署名・暗号化、文書への電子署名など、幅広い用途で活用しています。
多要素認証の仕組みは複数の選択肢があった中で、NECの社内システムへの導入の容易性、情報セキュリティ、コストの観点からクライアント証明書の導入を決定。
さらにクライアント証明書なら、個人認証に加え、電子メールへの署名・暗号化、文書への電子署名にも活用可能であり、投資対効果の観点からも、NECの情報セキュリティ強化に大きく寄与すると判断し、導入を決定しました。

7.技術的構成と運用の工夫

証明書の有効期限は1年間とし、新規発行・更新・失効の各プロセスをシステム化することで、運用の効率化とセキュリティ強化を実現しています。
簡単に申し上げますと、入社しメールアドレスが有効になった時点で、登録局(RA)へ自動でリクエストを行い、認証局(CA)が発行を行い、ユーザーに通知が届き、ユーザーが証明書を取得し、端末にインポートします。
導入にあたり、ユーザー教育や利用率向上施策、ポリシー策定などを実施しました。

8.導入効果と社内文化の変化

主要なシステムには多要素認証が実装されており、サイバー攻撃が広がる中でもNECグループは重大なインシデントの発生を未然に防いでいます。これは、10年前から多要素認証を実装していることが大いに貢献しています。

コロナ禍において、出社に制限がかかった際に、全従業員がクライアント証明書を所持していることから、印鑑から電子署名の移行がスムーズに実現できました。

昨今、なりすましメールやフィッシングメールが広がる中、NECは先んじて対策を講じていることが強みになっています。

また、署名付きメールの利用が日常的となり、秘密レベルに応じて、ファイルをラベリングし、ファイルの暗号化や暗号化メールを利用するなど、情報・データを正しく取り扱う文化が定着しています。

9.今後の展望と業界動向

S/MIMEは世界的にも注目されており、欧州では医療・行政分野で標準化が進んでいます。昨今、なりすましメールやフィッシングメールが広がる中で、今後も注目される技術となっています。

CA/ブラウザーフォーラムでは「用途分離(Purpose Limitation)」の考え方が推奨されている今後、S/MIME認証とクライアント認証を分離して管理する必要性があります。用途ごとの証明書管理体制の検討・整備が必要になります。

NECとしても、業界動向や国際標準の変化を注視しつつ、S/MIMEのさらなる活用と運用高度化を推進していきます。

10.まとめ・参考情報

NECグループは、技術と運用、そして人の意識改革を組み合わせることで、全社的なメールセキュリティ強化とS/MIME・DMARC導入を実現してきました。今後も、社会的信頼の維持・向上に向けて、セキュリティ対策の進化を続けていきます。

本記事の詳細内容は、JAPAN Security Summit 2025 オンデマンドセミナーで、公開されています。よろしければご覧ください。

[1] 文献 S/MIME推進協議会
URL:https://www.s-mime.jp/

[2] 文献 迷惑メール対策推進協議会「送信ドメイン認証技術DMARC導入ガイドライン」
https://www.dekyo.or.jp/soudan/data/anti_spam/dmarc_guideline.pdf

[3] 文献 JAPAN Security Summit 2025
開催期間:2025年10月28日(火)〜11月16日(日)
URL:https://jss2025.japansecuritysummit.org/

執筆者プロフィール

執筆者
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伊藤 達哉(いとう たつや)
担当領域:認証基盤サービス
情報セキュリティ基盤運営(ISMS、J-SOX対応、セキュリティ運用DX)
専門分野:認証基盤、サーバ証明書・電子証明書

NECグルーブの情報セキュリティ基盤の運営を担当。
保有資格:ISMS 審査員補、ITストラテジスト、プロジェクトマネジメント、ITサービスマネジメントなど。