NIPPON EXPRESSホールディングス様: 事例
社員一人ひとりの気づきと通報を防御力に
NXグループが挑むグローバルな意識改革
事例の概要
課題背景
- 国内だけでなく、NXグループ全体でセキュリティ意識の底上げを図る必要を感じていた
- 世界各国の実情・文化を踏まえながら、グローバルガバナンスをどう構築するかを模索していた
- 通報率の向上を図りつつ、寄せられる通報メールの解析に要する工数を効率化したかった
成果
導入ソリューション
NECセキュリティアウェアネストレーニングサービス(KnowBe4)
セキュリティ意識(アウェアネス)向上トレーニングとフィッシングシミュレーション・分析を組み合わせた統合型プラットフォーム「KnowBe4」を活用し、NECの豊富なSI、運用ノウハウをもとに、お客様組織内で効率的に教育、訓練を行うための導入から運用支援までをトータルで提供。
本事例に関するお問い合わせはこちらから
事例の詳細
導入前の背景や課題
物流を支えるために──グローバルでのセキュリティ意識向上をどう実現するか
物流・倉庫など幅広い事業を通し、ものを運び、人、企業、地域を結んで、社会の発展を支えてきたNIPPON EXPRESSホールディングス株式会社では、事業継続を支えるITシステムの運用に取り組んでいます。
業務継続を脅かすリスクとしてサイバー攻撃の脅威が高まる中、同社は組織的・技術的対策と並行して、社員一人ひとりのセキュリティ意識向上に継続的に取り組んできました。その一環として、NIPPON EXPRESSホールディングスおよび一部のグループ会社では、2023年から3カ月に1回のペースでメール訓練を実施していました。
しかし、グループ会社や海外拠点を経由した侵害リスクが高まるにつれ、グローバル全体でセキュリティガバナンスをいっそう強化する必要性を感じるようになりました。「国内だけでなくグローバル全体、NXグループ全体で、共通の教育・訓練と、各地の事情に合わせた教育を組み合わせて実施する必要があると考えました」と、NIPPON EXPRESSホールディングスの関戸浩治氏は語ります。
特に、IT部門の体制が十分とは言えない一部のグループ企業ではメール訓練や教育の実施を外部ベンダーに委託せざるを得ず、訓練の企画から準備、実行、分析に至る一連のプロセスに少なくない費用と時間を要していました。グループ共通で活用できるセキュリティ教育・訓練基盤を導入することでこの問題を解決したいと考えました。
選択のポイント
マルチテナントによる階層的な管理と通報メール解析の効率化が鍵に
NXグループではセキュリティ教育を実施することで、グループ全体のベースラインを底上げしたいと考えました。それも、世界56カ国・地域、約2,900以上の拠点に展開している事業に合わせて多言語に対応し、各国・各地域の文化や商習慣に配慮したコンテンツを活用できることも重要な要件でした。
ここにマッチしたソリューションが、NECセキュリティアウェアネストレーニングサービスです。多言語対応に加え、NXグループにとって重要な要件は二つありました。
一つ目は、マルチテナント機能の存在です。同社の布川めぐみ氏は「親テナントの下に複数の子テナントを置き、訓練や教育を個社別に実施して細かな進捗を管理できると同時に、ホールディングス側で訓練状況全体を俯瞰できる必要がありました」と語ります。同一プラットフォームで、グループ全体の教育と個社の業務や文化に合わせたきめ細かな教育の両方を実施できる点も評価しました。
二つ目は、通報ボタンを活用して実際の不審なメールを容易に通報できるだけでなく、分析・処理を効率的に行えることでした。
NIPPON EXPRESSホールディングスでは以前から、従業員が不審に感じた受信メールをワンクリックで通報できる仕組みを導入していました。ただ、不審メールが本物の脅威か、それとも安全かを判断する部分は外部のセキュリティサービスに依存しており、同社内でのチェックと合わせて管理の手間が二重になっていました。
「多数寄せられる通報を人手で解析していたため、時間がかかる上にコストもかさんでいました。この解析から対応までの作業を自動化できないかと考えていました」と関戸氏は振り返ります。その点、NECセキュリティアウェアネストレーニングサービスではAIを活用し、不審メールの一次分析や対応の効率化を図ることができます。
SaaSベースのソリューションであるため、当初は初の試みとなるマルチテナント環境をどのように構築するかに不安もありましたが、導入時にはNECの支援を受けながら環境整備を進めました。
以前から、基幹システムやメールシステムに関して長年に渡る支援関係がありましたが、今回も、「最初の不安な時期はマルチテナントの構築作業を支援いただき、その後は細かなカスタムマニュアルを提供いただくことで自立して運用できるようになり、非常に助かりました」と関戸氏は語っています。
導入後の成果
通報率を高め、社員一人ひとりの気づきを防御力に
NIPPON EXPRESSホールディングスは2024年夏から、グローバル5地域の主要グループ会社を対象に、メール訓練と教育、通報の仕組みを運用し始めました。「それまで自社で訓練を実施できていたグループ会社は一部に限られていましたが、各社とも訓練の必要性は感じており、グループでの実施を求める声も大きかったため、スムーズに導入を進めることができました」と関戸氏は評価しています。
まずメール訓練機能を活用し、2カ月に1回の頻度で通報訓練を実施しています。多言語に対応し、各国・各地域の実情に即したテンプレートを活用できるため、グローバル拠点への展開も進めやすくなりました。
訓練は、詐欺だとわかりやすいメールばかりでは教育効果が薄くなりますが、あまりに見破るのが困難なメールでは今度は正規のメールが疑われ、業務に混乱を来す恐れがあります。このため、難易度のバランスは重要なポイントです。NECセキュリティアウェアネストレーニングサービスで訓練を内製化することで、継続的に訓練を実施し、結果を分析しながら、適切な内容を模索しています。また、訓練を重ねることで国ごと、会社ごとの分析や比較もできるようになりました。
ここでNIPPON EXPRESSホールディングスが重視しているのは、不審なメールを開封・クリックしてしまう割合を示す「開封率」だけではありません。訓練メールを受け取った際に、通報ボタンを用いて適切に報告できているかを示す「通報率」も重要だと考えています。迅速に通報が寄せられれば、本当に危険なメールに関して注意喚起を行い、他の社員が開封する前にブロックすることで被害を未然に防ぐことができるからです。
今回の導入と合わせて、「誤報でもいいから、不審なメールは通報してほしい」というメッセージを繰り返し伝えることで、「何かあったら通報・相談する」という意識がグループ内に広がり始めました。
「当グループには規模や業態の異なる会社が多数あり、全従業員へのセキュリティ意識の浸透は容易ではありません。グループ全体で教育・訓練を実施することで、不審メールへの警戒意識と通報文化の定着につなげています」と布川氏は語ります。
結果として、ますます多くの通報が寄せられるようになってきましたが、AIを活用した自動判別が行われるため、「省力化・効率化の面でも改善しています」と布川氏は評価しています。
企業を狙うサイバー攻撃は年々巧妙化しており、既存のフィルタリングをすりぬける手口も報告されています。これに対しNIPPON EXPRESSホールディングスでは、NECの支援を得ながら繰り返し教育・訓練を重ねることで、グループ全体の従業員のセキュリティ意識と通報率を高め、そうした攻撃への抵抗力を高めていく考えです。
「セキュリティソリューションでは見抜けない攻撃であっても、従業員一人ひとりが異変を察知し、通報する役割を果たすことで、攻撃の早期発見や被害の封じ込めにつながると考えています」と関戸氏は語ります。
同時に、各社のセキュリティ担当者と双方向でコミュニケーションを取りながら、NECセキュリティアウェアネストレーニングサービスで教育・訓練を高度化し、分析結果を踏まえた内容改善を継続していく方針です。今後もグループ全体のセキュリティ対応力強化を進めながら、事業継続を支えていきます。
NEC担当者の声
近年、フィッシングメールやソーシャルエンジニアリングをはじめとするサイバー攻撃は一層巧妙化しており、人の心理や行動の隙を狙う手口は日々増加・多様化しています。技術的対策のみでは防ぎきれない人的セキュリティリスクへの対応が企業にとって喫緊の課題となる中、従業員一人ひとりが脅威を正しく認識し、速やかに報告・相談できる組織風土の醸成が不可欠です。
NECはこれまで、業種・規模を問わず多くのお客様に対し、セキュリティ教育・訓練の導入計画の立案から環境構築、運用定着に至るまで一貫して支援してきた豊富な実績とノウハウを有しています。本取り組みにおいても、マルチテナント環境の構築支援や運用設計、カスタムマニュアルの整備などを通じて、お客様が自立した運用体制を早期に確立できるよう、きめ細かな支援を提供しました。さらにNECでは、国内のインシデント事例をもとに自社制作した独自の教育コンテンツを提供しており、従業員一人ひとりが脅威をリアルに捉えてセキュリティ意識を実践的に高められるよう支援しています。
今後もNECは、「人」を起点としたセキュリティ対策の重要性をお客様とともに追求し、教育・訓練の継続的な改善を通じて、組織全体のセキュリティレジリエンスの向上に貢献してまいります。
お客様プロフィール
NIPPON EXPRESSホールディングス株式会社