自然資本(TNFD)

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TNFDレポート第1版(2023年7月発行)
TNFDレポート第2版(2024年6月発行)

自然資本(水、汚染、生物多様性)に対するリスクおよび機会の評価と取り組み

World Economic Forumが2020年に発行したレポート「The Future of Nature and Business」によると、世界のGDPの約半分が自然資本に依存しているとし、世界銀行の報告書によると、生態系サービスの崩壊により年間2.7兆ドルの経済損失が生じる可能性があると推計しています。TNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)は自然環境/生態系と企業活動との間にある依存・影響、リスク・機会をそれぞれ正しく把握し、経営判断や投資判断に織り込むための重要なフレームワークです。NECグループでは早くからその重要性を認識して活動を進めてきました。2023年7月には世界に先駆けてレポートを公開し、翌年には得た気づきを反映した第2版を発行するなど活動の幅を広げています。
このたび2025年8月に発行した第3版の作成においては、テクノロジーカンパニーならではの試みとして生成AIやAgentic AIを活用しました。AIの力で事業と自然環境との関わりについて分析し、これに基づいて現地を視察、拠点ごとの対策や行政の取り組みまで確かめました。AIと人の力を掛け合わせることで効率化と高度化の双方を実現しつつ、重要情報を整理・把握することができました。

ガバナンス・リスク機会管理
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環境経営推進体制、環境方針、人権方針
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戦略
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リスクと機会を下記に掲載
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指標・目標
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NECエコ・アクションプラン2030(環境経営の指標および目標を参照)
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当社は以下のとおり、The TNFD Forum、The Nature-related Data Catalyst、SBT for Nature Corporate Engagement Programなどに参画し、自然資本分野でのグローバルな仕組みづくりに貢献してきました。World Economic Forumはネイチャーポジティブ経済の実現に向けて、業界別のガイドラインを作成しており、2025年12月に発行されたIT業界向けガイドラインの作成に、当社メンバーは有識者委員として貢献しました。その経験から得られた知見もこのレポートに織り込んでいます。

当社の参加イニシアティブ

参加イニシアティブ
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説明
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The TNFD Forum/Early Adopters
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TNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)フォーラムにメンバーとして加盟し、議論に貢献。Early Adoptersに登録し、TNFDに基づいた開示を実施
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TNFD Nature Data Public Facility(NDPF)
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世界に多数存在する自然関連データを使いやすくするための活動。パイロット企業として必要な機能に関する意見を提案中
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Science Based Targets Network
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水・生物多様性・土地・海洋に関連し、企業が地球の限界内で持続可能性目標に沿って行動できるようにする目標の設定手法。当社はCorporate Engagement Programに参画し、グローバルの仕組みづくりに貢献
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世界経済フォーラム(WEF) Nature Positive Technology Working Group
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世界各国の企業とともにICTセクターの環境影響と重要取り組みを洗い出し。2025年12月にガイダンスを発行
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TNFD Technology Sector向けセクターガイダンス
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世界各国の企業とともにICTセクターの取り組み指標を検討
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経団連自然保護協議会
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企画委員として、TNFDなどの国際イニシアティブとの連携や政策提言、自然保護プロジェクトへの支援などを実施
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電機・電子4団体 生物多様性WG
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電機電子業界の自然資本との共存・影響を分析、生物多様性の主流化のための各種ツールを開発。WGメンバーとして参画
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ネイチャーポジティブ発展社会実現拠点
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国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)の「共創の場形成支援プログラム(COI-NEXT)」本格型に採択され、東北大学大学院生命科学研究科の近藤倫生教授がリーダーを務める拠点に参画。多様なステークホルダーと連携し、自然を回復させつつ発展する社会の実現を目指す。
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研究開発とSociety 5.0との橋渡しプログラム(BRIDGE)
金融/投資機関による自然関連情報開示促進を国際標準化を前提としたネイチャーフットプリントの開発と実証事業
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グローバルバリューチェーンの観点から自然資本・生物多様性に注目した環境影響を定量的に評価するための方法論(ネイチャーフットプリント)を開発し、国際標準化に必要な取り組みを実施。当社は事業者として参画
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*1 Exploring Natural Capital Opportunities, Risks and Exposure:Natural Capital Finance Allianceが主導で、国連環境計画世界自然保全モニタリングセンター(UNEP-WCMC)などと共同で開発。環境の変化が経済に与える影響をユーザーが理解し、視覚化するためのツール

リスク(直接操業)

自然資本の観点から見たNECグループのリスクと機会を評価し、開示しています。直接操業リスクに関しては、NECグループの事業活動(55種)を洗い出し、自然資本への依存やインパクトの可能性の高さや事業規模・内容によって、深掘りをする事業活動を定めました。

リスク分析の進め方

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光海底ケーブル事業のリスクと対策

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依存と影響
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リスク
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物理
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急性・慢性
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海況安定機能への依存
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気候変動などの影響で海況が安定しなくなることによる、納期やコストへの影響
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政策・法
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海洋生態系への影響
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規制が厳しくなり、場合によってはコストが増加する
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移行
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市場
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水利用
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お客さまの要求が厳しくなり、場合によってはコストが増加する
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移行
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技術
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水利用
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万が一技術開発が遅れた場合の競争力の低下
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評判
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水利用
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万が一生態系へ影響を与えた場合、会社のブランド価値の低下
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当社は気候の影響を考慮して海底ケーブル敷設の工夫をしています。例えば、北太平洋の地域では冬季に天気が荒れやすくなります。この時期の工事を避けるため、ケーブルオーナーと協議しながら、事前の許認可やケーブルの生産を計画します。また、海洋調査を行うことで、海底地震や地滑りが発生するエリアを避けるルートをケーブルオーナーに提案し、自然災害へのレジリエンスを高めています。
海底ケーブルは直径17mmと細径でありながら8,000mの海底でも耐えうる強度を有しています。また、1つのファイバーに複数の伝送路を備えるマルチコアファイバーケーブルを開発し、ケーブルの太さを変えずに伝送容量を拡大できました。これにより、今後、環境負荷の増加を抑制しながら、ケーブルオーナーにとってより投資対効果の高いシステムを提供できます。
また、当社は海底ケーブルオーナー、敷設地の国や自治体などとの議論を重ね、地域の法令・条例を遵守し、環境に配慮しながら敷設をしています。例えば、アメリカのフロリダ州では、法令遵守のもとウミガメの産卵期を避けた工期で敷設をしています。また、敷設する環境に応じて海洋生物の事前調査を行ったり、ケーブル設置時に砂が舞わないようにシルトカーテンと呼ばれる囲いをつけたりしています。

OCC SC530 LW ケーブル
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データセンター事業のリスクと対策

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依存と影響
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リスク
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物理
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急性・慢性
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水利用
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渇水によりクーリングタワーが稼働できないことによる操業停止
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政策・法
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水利用
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取水制限が厳しくなり、万が一対応できない場合の売上減少
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市場
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水利用
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お客さまの要求が厳しくなり、万が一対応できない場合の売上減少
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移行
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技術
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水利用
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万が一、技術開発が遅れた場合の競争力の低下
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評判
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水利用
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万が一、地域の渇水を引き起こした場合、会社のブランド価値の低下
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当社が国内で運営する11拠点のうち、クーリングタワーで水を消費する空調システムを用いているのは神奈川データセンターと神戸データセンターです。水不足リスクについては国立研究開発法人産業技術総合研究所と連携し、流域の生態系保全に必要な水資源量も考慮した水ストレス度を定量評価しました。また、洪水リスクについても専門ツールにより、将来的に気候変動により4℃上昇した場合の浸水深を定量評価しました。
また、AIを活用して水インフラを含むローカルリスクを洗い出し、重点確認項目を特定したうえで、現地訪問や関係ステークホルダーとの対話を実施しました。その結果、水量が豊富な水源につながっており、水不足の懸念が少ないことを確認しています。さらに、上水と地下水の冗長構造に加え、72時間運転継続可能な貯水設備を備えていることから、操業停止や地域影響のリスクは最小化されていると判断しています。水不足の懸念が少ない地域では持続可能な範囲で水を使うことで、空調に必要なエネルギー量を減らすことができます。なお、新規の拠点建設時には事前に水リスク評価を実施することをNECエコ・アクションプラン2030に織り込んでいます。

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神奈川データセンターの取水元:安定した地下水位経年変化(出所:行政の令和2年報告書データをもとにNECが作成)
神奈川データセンターの取水元:安定した地下水位経年変化
(出所:行政の令和2年報告書データをもとにNECが作成)
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神戸データセンターの水源別給水区域図(出所:水道局HP)
神戸データセンターの水源別給水区域図
(出所:水道局HP)
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機器製造(通信、航空宇宙)事業のリスクと対策

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依存と影響
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リスク
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物理
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急性・慢性
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水利用
洪水・暴風雨保護
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渇水や洪水被害による工場の操業停止
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政策・法
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排水
廃棄物
土壌汚染
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公害規制が厳しくなり、万が一対応できない場合の売上減少
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水利用
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お客さまの要求が厳しくなり、万が一対応できない場合の売上減少
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水利用
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万が一、技術開発が遅れた場合の競争力の低下
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評判
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水利用
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万が一、公害を起こした場合、会社の評判・ブランド価値の低下
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データセンター事業と同様に、水関連リスクについては高解像度の専門ツールを用いて評価を行い、生物多様性リスクに関しては、IBAT(Integrated Biodiversity Assessment Tool)を活用し、拠点周辺の生態系の重要性を多面的に把握しています。また、当社の環境パフォーマンス管理ソリューションGreenGlobeXで水消費量の情報を集約しました。
ツールによる定量分析の結果、タイ パトゥムターニー拠点、中国 蘇州拠点、我孫子事業場、玉川事業場の4拠点が要注意地域に立地していることが判明したため、現地調査やヒアリングをとおして実態に沿ったリスク評価を実施しました。
タイ パトゥムターニー県は、水不足・洪水・生物多様性などのリスクが想定される地域です。水不足リスクについては、生産棟の空調や食堂・トイレでのみ水を利用しており、水不足によって生産工程が停止することはありません。また、3日分に相当する400m³の貯水槽を備え、工業団地によるチャオプラヤ川からの直接取水や、上流3つのダムを水源とする行政水道も利用可能です。
洪水リスクについては、2011年の大規模洪水被害を契機に、変圧器や電気設備の高所設置、上流ダムの水位モニタリングなどの洪水BCP対策を実施しています。さらに、工業団地の周囲20kmに高さ2.5mの止水壁を設置し、大型排水ポンプによる24時間365日体制の運用管理を行っています。
生物多様性リスクとして、IBATによると拠点50km圏内にIUCNレッドリスト絶滅危惧種(CR)の鳥類、爬虫類、淡水域生物が確認されています。
既存の製造拠点では新規の土地改変はなく、周辺の生物多様性への影響は排水・排ガス・廃棄物などを通じたものになります。当社の製造拠点はISO14001認証を取得しており、環境法令をふまえた適切な管理体制を構築しています。さらに、排ガスや排水について法令より厳しい自主基準を設定し、本拠点の排水も工業団地の処理場で適切に処理された後に放流されています。これらをふまえ、本拠点の生物多様性リスクは低いと判断しています。
今後もISO14001環境マネジメントシステムを活用し、環境管理のPDCAを推進するとともに、新規拠点建設時には事前に水リスク・生物多様性リスク評価を実施することをNECエコ・アクションプラン2030に織り込んでいます。その他の拠点についても同様の評価によりリスクが低いことを確認しています。詳細はTNFDレポート第3版を参照ください。

NEC TNFDレポート第3版

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工業団地での洪水対策(止水板設置箇所と排水ポンプ)
工業団地での洪水対策(止水板設置箇所と排水ポンプ)
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工業団地での洪水対策(止水板設置箇所と排水ポンプ)
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リスク(サプライチェーン上流)

当社は、バリューチェーン上流に位置する既存および新規の調達取引先に対し、「サプライチェーンにおける責任ある企業行動ガイドライン」を通じて、温室効果ガス排出削減、水使用量の削減、大気・水質・土壌汚染防止や騒音対策を含む環境保全への取り組みを求めています。ガイドラインの遵守状況は、毎年実施している「脱炭素・自然資本に関するお取り組み調査」において、取り組み実施状況ならびにこれらの環境課題に関する管理体制について継続的に確認しています。
今回の評価では、当社の代表的製品を起点に、業界に共通する一般的なサプライチェーン構造を参照しながら、以下の図のように最上流まで遡って主要なバリューチェーン上流の階層を整理しました。

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ENCOREによる分析結果からこの各階層における自然資本(水資源、鉱物資源、生物多様性など)への依存と影響が示唆されたため、階層ごとの依存と影響を評価しました。これをふまえ、リスク評価としては調達取引先と、中間取引先・最上流で2つの異なるアプローチをとりました。

1. 調達取引先への対応

調達取引先については、特に環境影響が大きいと想定されるハードウェア部品を供給する生産拠点約2,000拠点をリスク評価の対象とし、自社拠点と同様、高解像度の専門ツールで評価を行いました。
結果として、要注意地域に含まれる拠点について以下の図のような地域的傾向が確認されました。

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また、生成AIとAgentic AIを活用し、2,000拠点の水インフラに関する情報やローカルリスクを調査しました。1拠点ずつローカル情報を集め、ステークホルダーとの対話に使う資料の作成を行うことは非常に困難ですが、今回生成AIやAgentic AIの活用により、これらの作業を自動化することができました。これは、人手で8万時間相当の自動化といえます。
この結果を用いて、今後要注意地域に立地する拠点ごとの自然資本に対する依存と影響の実態を把握し、潜在的リスクへの対応状況を評価していきます。各拠点の取り組み状況の把握には、「脱炭素・自然資本に関するお取り組み調査」の結果を参照します。自然資本への依存と影響が大きいと判断した拠点については、対話を通じてエンゲージメント強化を図っていきます。NECエコ・アクションプラン2030に、エンゲージメントを実施することを織り込んでいます。

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2. 中間取引先~最上流の評価

サプライチェーン上流の膨大な数の調達取引先を遡って、自然資本への依存、影響関係の全体像を把握することは非常に困難です。今回当社は、国立研究開発法人産業技術総合研究所に支援いただき、組織単位で温暖化ガスの排出量を算定するScope 3と同じ考え方で、サプライチェーン全体の水ストレスを評価しました。その結果、Scope 3のカテゴリ1に相当する「購入した製品・サービス」が誘発する水消費が最も多いことがわかりました。また、NECグループのバリューチェーンが誘発する水消費量全量のうち、各流域の環境容量を超えた水消費量を合計すると全体の9.7%に相当することがわかりました(日本の産業平均では11.2%)。
この取り組みは日本のライフサイクルアセスメント(LCA)に係わる産業界、学界、国公立研究機関の関係者が集うLCA日本フォーラムから評価され、第22回LCA日本フォーラム表彰で「LCA日本フォーラム会長賞」を受賞しました。

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サプライチェーン全体の水消費量
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LCA日本フォーラム会長賞受賞
LCA日本フォーラム会長賞受賞
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001194.000078149.html
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リスク(サプライチェーン下流)

当社は使用済みの機器の回収に取り組んでいます。詳細は「サーキュラーエコノミー」の「リスク低減に向けた取り組み」に記載しています。また、製品含有化学物質の管理を徹底しています。詳細は「環境に配慮した製品・サービスの開発」の「製品環境コンプライアンス」に記載しています。

*2 水不足、洪水、生物多様性/汚染、資源

ICTソリューションを通じた貢献機会

1. 業務システムへの環境情報の織り込み ―業務の意思決定支援による企業変革―

ネイチャーポジティブ経営の実現には、事業活動と自然資本との関係を把握し、自然資本への依存や影響を可視化したうえで、リスクや機会を商品企画、設計、調達、製造、物流、販売などの意思決定に組み込むことが重要です。
そのためには、企業内の各機能部署間やサプライチェーン上の企業間で、環境情報を連携・活用する仕組みが求められます。当社は、こうした企業変革に対して、ICTソリューションを通じて貢献できると考えています。
一方で、多くの企業では、各機能部署が保有するデータの形式や管理方法が異なり、環境情報を横断的に活用することが難しいという課題があります。その結果、環境負荷低減の取り組みが十分に可視化されず、製品やサービスの付加価値として反映されにくい状況が生じています。
こうした課題に対してICTがどのように貢献できるかについて、基本的な考え方と取り組み事例を示します。

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当社は価値創造モデル「BluStellar」を通じて、お客さまの環境経営の課題解決に伴走しながら、ネイチャーポジティブな社会の移行に貢献します。また、Thought Leadership活動をとおして、企業変革を後押しする政策や社会の仕組みづくりの実現に向けて、課題提起や解決の道筋を提案します。

2. AIを活用したリスク/機会評価の高度化と開示支援

当社はサステナビリティ部門が持つ自社の知見を活用して、コンサルティング部門、グループ会社のアビームコンサルティング(株)、住友商事(株)とのジョイントベンチャーである(株)GXコンシェルジュと連携して、企業のサステナビリティ経営の伴走支援サービスを提供しています。
TNFDレポート第3版作成においては、専門知識を有する人材の知見を形式知化し、生成AIやAgentic AIを活用することで、対象拠点の網羅性と分析の深度を大幅に向上させました。下記のとおりTNFD対応業務に必要なタスクを定義し、AIの精度を上げるために個別の専門AIを複数作りました。環境経営および施設管理の専門知見と最先端AIの知見を併せ持つ当社だからこそ実現したAIソリューションです。国内外で初めてのTNFD業務全体をカバーしているAIソリューションといえます。さらに、これらのプロセスを自律的に動作させるAgentic AIを開発・評価しました。これらのAIはお客さまの伴走支援サービスに活用を始めています。

AI活用によるTNFD関連タスクの進め方

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調査タスク

さまざまな国際機関やイニシアティブ、そして各国政府が出しているガイダンスを読み込ませています。総ページ数が数千ページにおよぶ数十の専門ガイダンスを読み解き、自社のレポートのGap分析を行い、改善すべき点を明確化できるようになりました。マンパワーで行うと少なくともガイダンス当たり6時間はかかる作業が30分以内にできるようになりました。

リスク評価タスク

グローバル汎用ツールの網羅性は高いですが、拠点のある地域ごとのローカルリスク情報を意思決定に役立つ精度で得ることが困難です。今回はAIにより地域の水資源の推移、インフラ、ステークホルダー、歴史文化などの情報を自動で抽出できるようにしました。これと拠点情報(生産工程、原動力設備など)を組み合わせることで自社やサプライチェーンの拠点のリスク評価ができるようになりました。これにより、従来は年間3拠点程度の深掘り調査しかできなかったところが、約2,000拠点の調査を実現できました。これは8万時間分の工数に相当します。専門知識を読み込ませたことで従来は限られたメンバーしかできなかったリスク評価が誰でもできるようになったほか、この自動化により生み出した工数を活用して、拠点の現場に訪問し、ステークホルダーとの対話に時間を費やせるようになりました。また、世界中の情報を参考にすることで財務影響評価や未来シナリオ分析もより実施しやすくなりました。

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機会評価タスク

これまで、企業のサステナビリティ情報開示では、環境課題に貢献するソリューションの紹介は事例紹介が中心でした。一方、投資家や格付け機関はその事例が事業機会であることの説明を求めています。今回は当社が長年の拠点や製品の遵法管理で得た各国の環境法規制の知見をAIに覚え込ませ、かつ当社の技術・ソリューション・パートナーシップの強みをふまえた事業機会を洗い出しました。
今後も当社はAIなどのテクノロジーを、情報開示対応にとどまらず、リスク最小化と機会最大化のためのツールとして活用していきます。