サプライチェーン・マネジメントの考え方
NECグループは、自社のみならずサプライチェーンを構成する調達取引先との協働・共創を通じて、環境や社会全体に与える影響に十分配慮しながら事業を行うことで、社会から信頼されるサステナブルな社会価値創造に貢献していきます。
ガバナンス
サプライチェーン・マネジメントの体制
NECグループでは、当社のCBXOがサステナブル調達の責任を担い、ビジネスプロセストランスフォーメーション部門の調達責任者を議長とする会議体で意思決定を行います。
当社および国内の主な連結子会社では、各社で選任されている調達関連法規の遵法推進者が自社・自部門内の調達関連法規の遵守を徹底しています。また、国内の主な連結子会社の調達責任者とは、四半期ごとに会議を開催し、サステナブル調達に関する環境変化への対応、調達担当者研修、Web研修の教材などについて情報共有を図っています。
海外連結子会社では、中南米、欧州、ASEANの地域統括会社および当社が直轄する主要な現地法人の調達責任者と年間の活動方針と計画を整合し、定期的な業務レビューを行いながら、当社で策定した方針・ガイドラインに則り各国の文化や商習慣にも配慮したサステナブル調達を推進しています。
また、国内外ともにこれらの会議で定期報告を受けガバナンス強化を図っています。
戦略
NECグループではサプライチェーン・マネジメントの戦略として、調達取引先との協働・共創を通じて重点リスクへの対応を進めています。
サプライチェーンの状況
1. 重要な調達取引先
NECグループでは、取引金額の大きい調達取引先、希少部品の調達取引先や代替困難な調達取引先を重要調達取引先と位置づけ、サステナブル調達施策に重点的に取り組んでいます。また、地域、セクター、調達カテゴリなどに基づいて特定したサステナビリティ・リスクに対し、その取り組みを強化しています。
2. 地域ごとの調達額
サプライチェーン・マネジメントの方針
NECグループのサステナビリティ経営の考え方と社会的責任や持続可能な調達の国際ガイダンス規格であるISO26000およびISO20400をもとに「NECグループ調達基本方針」を策定し、サステナブル調達に関する社内統制と調達取引先への展開を図っています。また、購買倫理など社内統制については、「資材取引に関する基本規程」を制定してすべての従業員に対して規程遵守を徹底しています。加えて、社内統制の強化のために、調達プロセスにおける具体的な業務規程を制定して定期的な研修を行い調達関係者に周知徹底しています。
NECグループでは、人権や環境への配慮を含む調達やセキュリティ対策に関する方針・ガイドラインに基づいて、調達取引先との相互理解を深め、密に連携しながら活動を推進しています。また、調達取引先をQCD*1に加えてサステナビリティの観点から統合的に評価し、長期的な視点でパートナーシップを深める努力を続けています。
*1 Quality=品質、Cost=コスト、Delivery=納期
①人権について
「NECグループ調達基本方針」で奴隷および人身売買の拒否を明言するとともに、「サプライチェーンにおける責任ある企業行動ガイドライン」で強制労働・児童労働の禁止と労働者の団結権の尊重、適切な賃金・労働時間の管理を要請しています。また、OECDのガイダンスのプロセスに則った人権デュー・ディリジェンスを実施、リスクを評価・特定してリスク軽減の取り組みを進めています。
② 環境について
「サプライチェーンにおける責任ある企業行動ガイドライン」でNECグループと調達取引先が一体となった環境経営の実現を求めるとともに、「製品含有化学物質の調達制限に関する基準」を制定して製品化学物質に関する国内外の規制への対応を要請しています。
③情報セキュリティについて
NECグループから委託された業務に従事する作業者が守るべきセキュリティ対策を「お客様対応作業における遵守事項」として定めるとともに、作業従事者にこの事項を遵守することを誓約していただくことで、対策を徹底しています。
こうしたサプライチェーン・マネジメントの活動をクライアントゼロに、お客さまの調達活動を支援する取り組みを強化する方針です。詳細については、リスク管理(自社のサプライチェーン関連業務をクライアントゼロとした事業機会創出「Supplier Portal」)を参照ください。
NECグループ調達基本方針
サプライチェーンにおける責任ある企業行動ガイドライン
環境経営(環境に配慮した製品・サービスの開発)
製品含有化学物質の調達制限に関する基準
情報セキュリティとサイバーセキュリティ
サプライチェーン・マネジメントにおける重点リスク
当社では、「NECグループ調達基本方針」や「サプライチェーンにおける責任ある企業行動ガイドライン」において、
人権・労働 安全衛生 環境 品質・安全性 情報セキュリティ 公正取引・倫理
を6重点リスクとして特定し、NECグループの調達取引先に対しTier2以降の上流のお取引先も含めた責任ある企業行動を要請しています。
また、上記の人権・労働リスクについて「サプライチェーン上の人権尊重の推進(サプライチェーン上の人権)」を、NECグループの新中期経営計画期間のマテリアリティと特定しました。環境・社会に対するインパクトおよび財務に与えるリスク・機会は以下のとおりです。
「サプライチェーン上の人権尊重の推進(サプライチェーン上の人権)」
1. 環境・社会に対するインパクト
生産委託など調達取引先の海外工場における製造工程での労働者に対する人権リスク、ソフトウェア開発の長時間労働リスク、施工・保守・点検時の労働安全衛生リスクがある。
2. 財務に与えるリスク・機会
調達取引先と協働して取り組んでおり、リスク発生の可能性は低いが、人権侵害を引き起こした場合レピュテーションリスクが想定できる。
サプライチェーン上の環境リスクに関するマテリアリティである「バリューチェーンの環境負荷の可視化と抑制(気候変動)」への取り組みについては「環境経営(サプライヤー・エンゲージメント)」に記載しています。
環境経営(サプライヤー・エンゲージメント)
リスク管理
サプライチェーン・マネジメントにおけるリスク管理プロセス
サプライチェーン・マネジメントにおける重点リスクについては、書類点検、内部分析および外部調査結果をふまえて評価し、関連する調達取引先をマッピングしたうえで、高リスクの調達取引先に対して監査、是正要請ならびに改善状況のフォローアップを実施しています。こうした取り組みのPDCAサイクルを回すことを通じて、当社は調達取引先との対話を継続しながら、サプライチェーン全体の適切な管理に努めています。
1. サプライチェーンのリスク評価結果と是正措置
1.1. 書類点検
当社では、NECグループの調達取引先に対してサステナビリティの取り組み状況を確認する書類点検を継続的に実施しています。2025年度は下記の点検を行いました。
(Tier1、Tier2の合計)
①サステナブル調達セルフアセスメント
よりリスクの高い領域に焦点をあてた調査として過去得点率が低かった調達取引先の取り組み進捗を再調査しています。2023年度から2025年度に調査対象となった調達取引先は、連結調達実績の70%をカバーしています。本アセスメントでは、外国人技能実習生の受け入れ状況の詳細や2次以降の調達取引先における人権問題への対応なども確認しています。
2025年度の点検では、協力を依頼したTier1にあたる734社のうち645社から回答を得るとともに、調達取引先の取り組み状況を「得点率」および「クリティカルポイント*2」の評価基準に基づいて「人権」「安全衛生」「環境」「公正取引」「その他」の点検テーマ単位にA、B、C、D、Zの5段階で評価しました。
この評価結果は、回答を提出いただいたすべての調達取引先に対して、点検テーマ別の得点および調達カテゴリごとの平均点との比較を示したフィードバックシートとして発行しています。2025年度の調査では、潜在リスクの可能性が見受けられるZ評価の調達取引先は7社となりました。Z評価の調達取引先に対しては、当社が実態を把握し是正指導を行うなどのサプライヤー・エンゲージメントを通じて2026年度上期中の是正完了を目指します。
なお、2024年度の調査の結果、是正が必要(高リスク)と特定された調達取引先に対しては、是正指導を行い完了までのフォローを行いました。是正計画や是正完了時の報告についても記録に残し、活動改善につなげています。2024年度も、強制労働や児童労働に関するリスクは特定されませんでした。
*2 クリティカルポイントとは、当社が発行した「サプライチェーンにおける責任ある企業行動ガイドライン」や法規制などに照らして、取り組みが未対応の場合に、潜在リスクが存在する可能性があると当社で特定した設問
また、サプライチェーン上流のリスクへの対応を強化するため、Tier1にあたる調達取引先8社のご協力のもとTier2の調達取引先11社の点検を実施しました。
海外の地域統括会社および主要な現地法人では、現地の調達取引先21社に本アセスメントのうち「人権」「安全衛生」の点検テーマについて確認を行いました。
② 脱炭素・自然資本に関するお取り組み調査
NECグループのサプライチェーンの中で環境への影響度が高いと特定した調達取引先を対象に、CO2削減や自然資本に関する毎年の取り組み進捗を確認しています。調査結果は、NECグループの事業による環境への負のインパクトを軽減するための活動である、脱炭素をはじめとした環境課題に関する調達取引先への支援や協働での取り組みの強化に活かしています。
③情報セキュリティチェックシート
1,736社を対象に専用システムを利用して書類点検を実施しました。社会の基盤である情報システムの構築を担うNECグループにとっては、情報セキュリティは必要不可欠であり、調達取引先との連携において調達取引先の技術力だけではなく情報セキュリティの水準がNECグループの定める基準を満たしていることが重要と考えています。そのため、書類点検で確認した調達取引先の情報セキュリティ対策状況から情報セキュリティの水準を分類し、NECグループが定める基準に応じて適切な調達取引先を選定して業務を委託する仕組みを取り入れています。
情報セキュリティとサイバーセキュリティ
調達取引先への書類点検への回答社数/調査対象社数(データ集)
1.2. 訪問点検
情報セキュリティ分野において取引規模だけでなく取り扱う情報の重要性や秘密性および書類点検結果などを総合的に評価して訪問点検の対象となるお取引先を選定しています。2025年度は完成開発委託している220社に対して訪問点検またはリモートによる点検を実施しました。点検では、情報セキュリティ事故の防止のために調達取引先の従業員が情報セキュリティに関する指示や要請を遵守していることを、従業員へのインタビューや社内規定などの確証、現場の視察をとおして確認しています。点検の結果、重大な不備は確認されませんでしたが、再委託管理、秘密表示の指定、秘密事項の廃棄・返還管理、サイバー攻撃対策などに関して軽微な改善が必要と判断された調達取引先に対して是正指導を実施しました。改善を要する事項を調達取引先と共有し改善施策が講じられるまでフォローしています。
2. 調達取引先とのエンゲージメント
2.1. 周知徹底
NECグループでは、「NECグループ調達基本方針」や「サプライチェーンにおける責任ある企業行動ガイドライン」をはじめとする各種説明書面を調達取引先に提示しています。また、各種説明会を開催して、調達取引先に最新の施策について直接説明し、周知徹底を図っています。
①環境
2025年7月に調達取引先向け脱炭素説明会を開催し、社会動向やNECグループの脱炭素の方針、調達取引先への要請事項を説明しました。
環境経営(サプライヤー・エンゲージメント)
②情報セキュリティ
2025年度は、サイバー攻撃の情勢をふまえ、従来の情報セキュリティ説明会に加え、幹部向けの説明会や担当者向けの勉強会を開催し、情報セキュリティ施策の周知徹底を図りました。
2.2. 宣言書の取得
調達取引先には、基本契約書の締結と「サプライチェーンにおける責任ある企業行動ガイドライン」を遵守する旨の「サプライチェーンにおける責任ある企業行動に関する宣言書」への署名を要請しています。「2025中期経営計画」期間におけるマテリアリティの一つである「サプライチェーンサステナビリティ」の活動指標として、2025年度末に調達金額75%をカバーする調達取引先から本宣言書を取得することを目指して活動を実施しました。また、新規取引開始時に対象企業から宣言書を必ず取得するようにしています。
2025年度末までに国内外で連結調達金額の88%をカバーする約14,000社の調達取引先から宣言書を取得しました。
2.3. 調達取引先への研修・啓発活動
NECグループは調達取引先におけるサステナビリティ推進活動を支援するために、人権、労働安全衛生、環境、情報セキュリティの各テーマについて研修の機会の提供や啓発活動を行っています。
①人権
2025年度には、当社および国内連結子会社の主要な調達取引先向けに「サプライヤーダイバーシティフォーラム」を開催しました。このイベントは、サプライチェーンにおける多様性の推進を目的に開催されたものです。当日は調達取引先148社が参加し、当社の役員が当社のインクルージョン&ダイバーシティの取り組みについて紹介しました。参加者アンケートでは回答者の98%が講演内容に満足、96%が自社の取り組みにつなげたいとの回答を得ています。
また、国際機関や政府、業界団体などにより開催される「ビジネスと人権」に関するセミナーについても当社および国内連結子会社の調達取引先向けポータルサイトにて案内を行っています。
②労働安全衛生
当社および国内連結子会社では、調達取引先と連携した健康経営の取り組みを進めています。
NEC健康白書2025(P.10)
③環境
気候変動対策に関する説明会や情報提供を継続的に行っているほか、調達取引先における従業員向けの環境教育に活用いただける資料を提供しています。
環境経営(サプライヤー・エンゲージメント)
④情報セキュリティ
調達取引先向けの「情報セキュリティ説明会」の中で、情報セキュリティや個人情報保護についての最新動向や業務における注意事項などを共有するとともに、サイバーセキュリティ対策に関する教育を継続して実施しており、情報セキュリティ事故防止のための啓発活動を行っています。
2.4. 調達取引先に対する情報セキュリティ管理の強化
NECグループが調達取引先に求める対策は、①契約管理、②再委託管理、③作業従事者の管理、④情報の管理、⑤技術対策の導入、⑥セキュリティ実装、⑦点検の実施、の7項で、特に、再委託管理に関しては、調達取引先は委託元から書面による事前承諾を得ない限り、第三者に再委託してはならないことを基本契約で定めています。
また、再委託先確認書の提出を義務化しており、プロジェクトごとの体制を明確化しています。やむを得ず再委託先を活用する場合には、委託先と同様のセキュリティ水準を求めることで、調達取引先で発生する情報セキュリティ事故リスクを低減しています。
2022年より、サイバーセキュリティ対策を強化するため、NECグループの情報セキュリティ基準を、インシデント発生への対応能力の確立を要求するNIST SP800-171に基づいた内容に改訂しました。また、調達取引先に対してシステムセキュリティ計画書の作成を依頼し、情報セキュリティ基準への対応状況を確認しています。
調達取引先だけで対策することが困難な内容についてサイバーセキュリティ対策の勉強会を開催するほか、重要な調達取引先に攻撃リスクの低減やセキュリティレベルの向上を目的とした第三者評価結果を開示することで調達取引先のリスク低減の活動を支援しています。
サイバーセキュリティ経営報告書
3. 従業員とのエンゲージメント
当社および連結子会社では、調達の社内規程などに則り、調達担当者を対象とした定期的な各種研修プログラムを実施しています。また、新しい法規制や顕在化した新たなリスクへの対応のため、適時に個別テーマ研修を実施することで適正な業務遂行を維持できるよう努めています。
3.1. 当社および連結子会社の全従業員向けの研修
サステナブル調達の重要性を啓発するため、「ビジネスと人権」と「環境教育」のWeb研修において、サプライチェーンの人権・環境リスクとNECグループのサステナブル調達の取り組みについて周知を行っています。
人権の尊重(人権に関する研修・啓発)
環境経営(環境教育・意識啓発)
3.2. 海外連結子会社向けの研修
海外の主要な現地法人の従業員を対象に「サステナブル調達」に関するWeb研修を実施し、212人が本研修を受講しました。このWeb研修では、人権(現代奴隷・児童労働・強制労働の禁止を含む)および環境への影響に焦点をあて、調達側面で留意すべきESGの概念、デュー・ディリジェンスの主な要件、およびサステナビリティ・リスクについて解説しました。
4. ステークホルダー・エンゲージメント・イニシアティブへの参画
4.1. 企業横断活動への参加
当社は、国連グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパンのサプライチェーン分科会にメンバーとして参加し、異なる業種の企業、NGOなどの多様なメンバーとサステナブル調達のあるべき姿について議論を重ねるとともに、サステナブル調達活動の改善と質の向上を目指した活動を行っています。2025年度は、サプライチェーン分科会の活動成果である、企業の⼈権デュー・ディリジェンスを支援するための実践的なマニュアル「⼈権デュー・ディリジェンスの実践のためのマニュアル 〜⼈権分野の責任ある企業⾏動〜」第2版の作成に、リーダーとして貢献しました。
また、電機・電子業界横断で責任ある企業行動を推進することを目的とした「サステナブル調達パートナーシップ」(SPP)の立ち上げに向け、当社はJEITA CSR委員会傘下のタスクフォースにリーダー企業として参画し、活動を牽引しています。2025年度は小規模での試行事業「SPPトライアル」として、中小企業に対して「人権デュー・ディリジェンス実践ワークショップ」および「グリーバンスメカニズム構築実践ワークショップ」を開催し、参加企業各社が人権デュー・ディリジェンスの体制やグリーバンスメカニズムを構築して実践できるよう支援を実施しました。
5. サプライチェーン・デュー・ディリジェンス
当社は、NECグループの調達取引に関する人権・環境デュー・ディリジェンスを推進しています。
5.1. リスクベース・アプローチでのデュー・ディリジェンスのステップ
①リスクベース・アプローチ
日本政府によって「責任あるサプライチェーン等における人権尊重のためのガイドライン」が公表されたことや、海外でのサプライチェーン上の人権侵害を防止する法整備の進展に加え、NECグループにおける顕著な人権リスクの一つに「サプライチェーン上の労働」が位置づけられたことを受け、人権デュー・ディリジェンスの取り組みを下記のとおり強化しました。
②サプライチェーン・デュー・ディリジェンス
「責任ある企業行動のためのOECDデュー・ディリジェンス・ガイダンス」に規定された以下のステップに基づいて活動を進めています。
ステップ1
「『ビジネスと人権に関する国連指導原則』の実施に係るICT部門向けガイド」、国際労働組合総連合(ITUC)による「地域別人権評価レポートとリスクマップ」などの外部調査結果とNECグループの調達構造に対する内部分析結果をふまえ、ICTセクター、地域および事業特性の観点からそれぞれのリスクに関する情報を収集、評価
ステップ2
ステップ1の情報に国際NPOのBSRによる人権影響評価の結果を加味し、優先度の高い事業領域におけるリスクを特定。例として、生産委託など調達取引先の海外工場における製造工程での労働者に対する人権リスク、調達取引先の国内工場における製造工程での外国人技能実習生に対する人権リスク、ソフトウェア開発の長時間労働リスク、施工・保守・点検時の労働安全衛生リスク
ステップ3
上記リスクに関連する調達取引先をマッピングし、潜在的影響の性質や範囲を評価したうえで、選定した調達取引先(2021年度から2025年度までで34社)に対し、外部監査会社による第三者監査、および当社による第二者監査を実施。監査によって特定された不適合事項について、国内法およびグローバル基準の視点から以下4つのカテゴリに評価・区分、調達取引先へフィードバックし、是正対応を要請
人権・労働安全に関する監査には、セクシャルハラスメントに関する方針、性別に基づく差別や妊娠を理由とした解雇の有無、妊娠中・産後・授乳中の労働者に対する適切な健康安全対策など、ジェンダーに関する項目も含まれています。監査の結果特定された高リスクの是正事項は、原則半年以内に是正完了するよう求めています。現地調査の結果については所定の監査記録として文書化し、是正・改善状況のフォローアップに活用しています。
2025年度は、人権、労働安全衛生に加えて、環境のリスクについてもカバーした第三者監査を一部の調達取引先に実施しました。不適合事項としては、大地震などの緊急時の対応手順の周知徹底未実施、廃液の廃棄置き場表示の不備などが発見されました。なお、強制労働や児童労働に関する不適合事項は発見されませんでした。
2024年度の監査の結果、高リスクの是正事項が特定された調達取引先に対しては、是正指導を行い、是正完了までフォローを行いました。
環境経営(環境デュー・ディリジェンス)
NEC Stories(サプライチェーンサステナビリティ)
5.2. 外部有識者との対話
当社は、2025中期経営計画において「サプライチェーンサステナビリティ」をマテリアリティに特定し、協働・共創によるお取引先との連携を強化する取り組みを行いました。
その一つとして、2024年に調達活動における人権に関する取り組みでの課題について外部有識者の方々と対話を行いました。
調達活動における人権への取り組みのさらなる発展に向けて
責任ある鉱物調達への取り組み
NECグループでは、「責任ある鉱物調達対応方針」を制定し、調達取引先にも責任ある鉱物調達への理解と対応を求めています。調達取引先に対して錫・タンタル・タングステン・金(3TG)・コバルト・マイカの使用状況や製錬所情報を確認する調査を、CMRT・EMRT*3を使用して実施しています。2025年度は連結調達実績の約6割を占める調達取引先に対してCMRT・EMRT調査を行いました。調査の結果、サプライチェーン上流で紛争の助長や強制労働・児童労働などのサステナビリティ・リスクが高いとされる製錬所の使用が特定された調達取引先に対しては、製錬所の切り替えを働きかけています。
また、当社は、JEITAが主宰する「責任ある鉱物調達検討会」のメンバーとして業界連携活動も継続するとともに、同検討会傘下の啓発・広報チームに参画し、調達取引先の責任ある鉱物調達に対する理解促進に努めています。
*3 CMRT・EMRT:Responsible Minerals Initiativeの調査報告テンプレート
NECグループ 責任ある鉱物調達対応方針
責任ある調達マネジメント(責任ある鉱物調達)
新規の取引開始前の評価
当社では、新規の取引開始前に対象企業の経営状況、製品・サービスの品質と価格、納期、技術力に加え、環境および人権・労働・安全衛生などサステナビリティに関するリスクを評価しています。また、「サプライチェーンにおける責任ある企業行動ガイドライン」の記載内容の遵守および宣言書への署名に対する意向の確認を含め、総合的に新規取引の可否を決定しています。
社外からの評価
1. 環境配慮への取り組み
当社はCDPが実施する「サプライヤー・エンゲージメント評価*4」において、6年連続で最高評価の「サプライヤー・エンゲージメント・リーダー」に認定されました。この認定は、サプライチェーンからのCO2排出量ゼロに向けた削減への各種取り組みが評価された結果と認識しています。
*4「サプライヤー・エンゲージメント評価」とは、企業のサプライチェーン全体での気候変動・温室効果ガス排出量削減への取り組みを調査し、取り組みに応じて企業を格付けするものです。
苦情処理メカニズム
当社では、コンプライアンスだけではなく、人権・労働、安全衛生なども含めた責任ある調達全般に関して、NECグループの調達取引先から相談を受け付ける多言語対応が可能なホットラインを設置しています。通報者のプライバシーに配慮するため匿名での通報を可能として取引上の苦情や相談に応じる仕組みを整備しています。また、当社では、毎年「コンプライアンス徹底・責任ある調達へのご協力依頼」を文書にて調達取引先に発信することにより、NECグループの従業員によるコンプライアンス違反の早期発見・是正に向けた通報への協力を求めるとともに、ホットラインで責任ある調達全般に関する相談を受け付けていることを周知しています。
2025年度は、当社のホットラインで受理した調達取引に関する20件の通報に対し事実関係を確認し、すべて適切に対応を完了しています。なお、強制労働や児童労働に関する通報はありませんでした。
また、2022年度からは、業界横断のイニシアティブであるJaCERの集団的苦情処理メカニズムに参加し、UNGPsの要件に沿った実効性の改善を目指しています。
人権の尊重
調達コンプライアンスおよび責任ある調達に関する相談・申告窓口
自社のサプライチェーン関連業務をクライアントゼロとした事業機会創出「Supplier Portal」
当社は、サプライチェーン全体のサステナビリティ向上と企業価値創造の実現に向け、「Supplier Portal(サプライヤーポータル)」の実証を開始しています。これは、バイヤー企業・サプライヤー企業間の情報流通の非効率さや煩雑な調査票対応といった課題を解決するため、当社のリスク管理プロセスをクライアントゼロとして、AIやデジタルトランスフォーメーション(DX)ならびに世界トップ水準のサステナビリティ経営の知見を結集して開発し、機会創出につなげたものです。本ポータルは、従来メールやExcelで行っていたサステナビリティ関連の書類点検である自己評価質問票(SAQ)をオンラインで統合管理し、調査回答や集計・分析の工数削減、業務効率化・標準化に貢献します。2026年度中の事業化を目指しており、将来的にはNECグループが培ってきた高いセキュリティ技術とAI・DXの知見を活かし、サプライヤーや企業間のセキュアなデータ連携・活用を促進するサプライヤー情報流通基盤の構築を通じ、サプライチェーン全体の価値向上を目指します。
NEC、サプライチェーンのサステナビリティ変革を加速する「Supplier Portal」の実証を開始
指標および目標
2030年度KPI
(期間:2026年4月〜2031年3月)
M:マテリアリティに関わる主な非財務目標を示しています。
M:高リスクと評価された調達取引先の是正完了率*5 100%
*5 是正の働きかけは1年程度の期間にわたり取り組んでいるため、2030年度KPIは2029年度に是正を促した取引先の2030年度末の是正完了率とします。
2026年度の目標
- 2025年度に高リスクと評価された調達取引先の是正完了率 100%
- 高度なサイバー攻撃に対応したセキュリティ対策強化
2025年度の目標と実績
1. 2025年度の目標
1.1. M:調達ガイドへの同意取得75%以上の継続(「2025中期経営計画」期間におけるマテリアリティ)
1.2. 標準点検、サイバーセキュリティ対策強化による協力会社起因の事故撲滅
①サイバーセキュリティ対策強化
- NIST SP800-171をベースとした情報セキュリティ基準への適合活動強化
- BitSightを活用したモニタリングの拡大によるSCリスク可視化
- AIを活用したサイバーセキュリティ対策の効率化
②海外調達取引先の情報セキュリティ強化
- 中国重点調達取引先における新情報セキュリティ基準への完全移行
2. 2025年度の実績
2.1. M:調達ガイドへの同意取得率 88%(2025年度末)
2.2. 標準点検、サイバーセキュリティ対策強化による協力会社起因の事故撲滅①サイバーセキュリティ対策強化
- NIST SP800-171をベースとした情報セキュリティ基準への完全移行
- BitSightを活用したモニタリングを1,800社に拡大
②海外調達取引先の情報セキュリティ強化
- 中国重点調達取引先に対し、新情報セキュリティ基準をベースに点検を実施し、対策済みであることを確認