ガバナンス
人権の尊重に関する体制
NEC Wayおよび「NECグループ人権方針」に基づく取り組みは、当社の社長が統括しています。また、国連「ビジネスと人権に関する指導原則(UNGPs)」に沿った取り組みの進捗に関して、当社のサステナビリティ推進担当役員が取締役会で定期的に報告し、取締役会がそれを監督しています。
当社は、バリューチェーン全体の、顕在的または潜在的な負の影響を継続的に評価することで顕著な人権課題を特定し、特定した人権課題ごとに、担当役員および担当統括部を設定して、人権デュー・ディリジェンスを推進しています。
加えて、NECグループの全従業員(臨時従業員を含む)やお取引先、お客さま、地域住民など広いステークホルダーを対象とした苦情処理メカニズムも整備しています。
NEC Way
コンプライアンス(内部通報制度)
考え方
人権尊重への考え方
1. NECグループ人権方針
当社は、2015年に、「NECグループ人権方針」を策定しました。さらに、2022年には、UNGPsで求められている、人権の尊重への経営トップのコミットメントとガバナンス体制を明確に示す内容に改定し、当社社長の承認を得た後、同年の取締役会で報告しました。また、改定後に当社社長からNECグループの役員と従業員に向けて、人権方針の改定についてメッセージを発信しました。なお、改定版策定にあたっては、労働組合や、国際労働機関(ILO)の専門家、国際NPO、投資家、ビジネスと人権を専門とする弁護士など、社内外の広いステークホルダーとの対話を行いました。
また、本方針および本方針に基づく人権の尊重に関する取り組みについては、年1回の定期的な見直しに加え、必要に応じて随時、更新・改定を行っています。グローバル要請の高まりを受け、2026年7月に、従業員の労働時間および賃金に関する考え方などを更新した改定版を公開しています。
当社は本方針を、NECグループの全役員、全従業員(臨時従業員を含む)に適用するほか、調達取引先、ビジネスパートナー、お客さまにも、本方針をご理解いただくとともに、人権の尊重に努めていただくよう、働きかけています。そして、以下のような考え方を詳述しています。
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NECグループは、あらゆる企業活動の場面において、基本的人権を尊重し、人種、信条、年齢、社会的身分、門地、国籍、民族、宗教、性別、性的指向・性自認、および障がいの有無など、いかなる理由であっても差別行為を許さないこと。いじめ、ハラスメント、児童労働、強制労働など、個人の尊厳を損なう行為も許さないこと。
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NECグループは、NECグループの企業活動により、脆弱な立場*1にある人々はもとより、あらゆる人の人権に及ぼされうる潜在的影響に関しても、責任があると考えていること。
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NECグループは、ICTセクターの一員として、プライバシーを含むデータの保護や表現の自由の尊重、および新技術の適正利用に努めること。プライバシー侵害や差別などの人権課題に配慮した製品・サービスの開発・提供をとおして、社会への負の影響を防止・軽減するだけでなく、NECグループが提供する価値も最大化していくこと。
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NECグループは、以下の文書により定められたものを含め、NECグループの事業およびNECグループの技術に関連する国際的に認められた人権の基準を支持すること。該当地域の国内法令が国際的に認められた人権と両立できない場合には、国際的な人権の原則を尊重する方法を追求すること。
- 国際人権章典(「世界人権宣言」およびこれを条約化した「市民的及び政治的権利に関する国際規約」「経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約」)
- 労働における基本的原則と権利に関する国際労働機関(ILO)宣言に定められた、ILO中核的労働基準5分野10条約(結社の自由及び団体交渉権の効果的な承認、あらゆる形態の強制労働の禁止、児童労働の実効的な廃止、雇用及び職業における差別の排除、安全で健康的な労働環境)
- 国連「ビジネスと人権に関する指導原則(UNGPs)」
- OECD責任ある企業行動に関する多国籍企業行動指針
- 国際労働機関(ILO)多国籍企業宣言
*1 脆弱な立場にある人々とは、貧困や差別・偏見に加え、気候変動などの環境変化による影響を受けやすい、女性、子ども、障がい者、性的マイノリティ、失業者、先住民族、少数民族、移住労働者、難民などを指します。
NECグループ人権方針
2. 子どもの権利の尊重
当社は、「NECグループ人権方針」に記載する国際基準のほか、脆弱な立場に置かれやすい子どもに関する権利に言及している国連「児童の権利に関する条約」や「子どもの権利とビジネス原則*2」も支持し、当社の提供する製品・サービスが子どもに対して及ぼす負の影響を防止・軽減することに努めます。
また、「サプライチェーンにおける責任ある企業行動ガイドライン」において、サプライチェーン上における児童労働の撤廃に努めるとともに、子どもを含む人権に配慮した事業活動、企業市民活動を推進することを求めています。
*2 2012年、ユニセフが国連グローバル・コンパクト、セーブ・ザ・チルドレンとともに策定
サプライチェーンにおける責任ある企業行動ガイドライン
3. 現代奴隷法への対応
当社とNEC Europe(含むNEC(UK))、NEC Software Solutions UKおよびNetcracker Technology EMEAは、取締役会の承認のもと、2018年度から、奴隷労働および人身取引防止を目的とした「英国現代奴隷法(The UK Modern Slavery Act 2015)」に関する取り組みを報告する宣言文を公表しています。
NECグループの現代奴隷法への対応(宣言文)
4. 希望退職などの労働契約終了時の手続き
やむを得ず雇用契約を途中で終了させる場合には、労働者との誠実な協議を行い、合理的かつ適切な通知期間を設けることにより、労働者の権利を尊重します。
リスク管理
人権デュー・ディリジェンス
1. 人権影響評価
当社は人権デュー・ディリジェンスの実効性をより高めるべく、2018年度から人権影響評価を実施し、2019年度以降、顕著な人権課題を核とした取り組みを推進しています。
1.1. 顕著な人権課題の特定プロセスについて
- 2018年度
EY新日本有限責任監査法人とともに、UNGPに準拠しながら当社および連結子会社の主要事業を対象に定量的な人権影響評価を実施。 - 2019年度
2018年度の評価結果をもとに、国際NPO Business for Social Responsibility(BSR)の人権リスクデータを活用し、NECの人権課題リストを作成。NPOなどの社会セクターを含む複数の社外有識者との対話をとおして、顕著な人権課題(「新技術と人権(AIと人権)」「サプライチェーン上の労働」「従業員の安全と健康」)を特定。2020年度の取締役会で報告。 - 2020年度
BSRが第三者の立場で、事業部門を中心とした22部門に対しインタビューを実施。事業活動の具体的な内容や管理体制、現場で直面している課題などを確認。人権課題リストをより実態に照らした内容に更新。 - 2021年度
2020年度に実施したインタビューをふまえ、UNGPおよびグローバル先進企業とのギャップ分析をコーポレートレベルで実施。当社における課題を可視化。「紛争影響および高リスク国地域におけるリスク」を顕著な人権課題として新たに特定。 - 2024年度
顕著な人権課題「従業員の安全と健康」の取り組み評価と、今後の課題を洗い出すため、BSRが、UNGPに沿ってNECグループの実態調査を実施。
顕著な人権課題として特定した以下4テーマについて、それぞれ担当役員と担当統括部を核に取り組みを進め、全社リスク管理の一環としてリスク・コンプライアンス委員会で報告・討議しています。また、ステークホルダーと継続的に対話を行うほか、適時、適切に情報を開示しています。各テーマの取り組み詳細はそれぞれのリンク先を参照ください。
①AIと人権
当社では、AI事業の遂行にあたり、プライバシーなどの基本的人権を適切に保護するための方針、体制、計画、実施、点検および見直しに関するルールを規程として制定し、その実施や運用の浸透を図っています。
AIと人権
個人情報保護、プライバシー
②地政学的情勢や紛争影響をふまえた人権リスク
紛争地域では製品・サービスの使われ方次第で人権侵害をひき起こす恐れがあります。そこで当社は、OECD States of Fragility 2025*3のリストをもとに人権視点のハイリスク地域を特定し、該当地域のお客さまの人権や腐敗に関する情報や製品・サービスの用途を取引前に確認しています。また、人権に関わる制裁を受けている団体や個人を含む、国連や米国財務省外国資産管理局(OFAC)など各国の制裁リストも確認しています。お客さまに人権方針がない場合などは、契約書などで「NECグループ人権方針」と同等の取り組みを求め、人権リスクの発生を未然に防ぐための働きかけをしています。
*3 OECD States of Fragility 2025:経済、環境、政治、安全保障、社会、人の6つの側面について、各国のリスク状況と対応能力を評価する指標
③サプライチェーン上の人権
「責任ある企業行動のためのOECDデュー・ディリジェンス・ガイダンス」に規定されたステップに基づき、リスクベース・アプローチの活動を進めています。
サプライチェーン・マネジメント
④従業員の安全と健康
NECグループは、ILO中核的労働基準をはじめ国際基準に則り、従業員の安全と健康を確保し、快適で働きやすい職場の維持・向上に取り組みます。労働時間の管理を適切に行い、過度な時間外労働削減に努め、休暇の権利を保障します。加えて法定最低賃金の遵守のほか、それを上回る生活賃金水準の支払いに努めます。また、パワーハラスメント、セクシャルハラスメントを含むあらゆるハラスメントを禁止し、包摂性や多様性のある文化を醸成します。
労働安全衛生
インクルージョン&ダイバーシティ
人権に関するステークホルダー・エンゲージメント
1. ステークホルダーとの対話
対話の詳細は、リンク先を参照ください。
1.1. NECサステナビリティ・アドバイザリ・コミッティ
当社では、2021年度よりCFOおよびサステナビリティ経営推進に携わる役員が社外有識者と定期的に議論を行うサステナビリティ・アドバイザリ・コミッティを実施しています。コミッティでは、人権リスクへの対応についてBSR永井氏から最新動向をご共有いただき、参加者一人ひとりの課題認識を共有し合ったうえで、対応策について討議しています。
- 第2回(2022年5月)Purpose経営におけるサステナビリティ推進の進捗と人権リスクへの対応について
- 第6回(2024年6月)企業価値向上に資するサステナビリティ戦略とは
- 第7回(2025年3月)激しく変化する時代におけるサステナビリティ経営のあり方
- 第8回(2025年9月)NECのサステナビリティ経営におけるサステナビリティ関連のリスクと機会について
1.2. AIと人権に関するエンゲージメント
弁護士や国際NPOなどの社会セクターの代表者らが議員を務めるNECデジタルトラスト諮問会議で社外有識者との対話の機会を持っているほか、EUの議会や日本の官公庁などとも定期的に対話しています。
AIと人権
1.3. 調達取引先とのエンゲージメント
当社は、書類点検や第三者監査・第二者監査などを活用し、調達取引先との協働・共創を通じて人権デュー・ディリジェンスを推進しています。また、調達取引先におけるサステナビリティ推進活動を支援するために、人権に関する研修の機会の提供や啓発活動を行っています。
サプライチェーン・マネジメント
1.4. 従業員とのエンゲージメント
職場の安全衛生の確保と快適な職場環境の促進のため、組織ごとに選出された安全衛生委員と労働組合の代表や従業員代表者らが、毎月「安全衛生委員会」で新たな安全衛生対策や健康関連施策などに関して協議しています。
インクルージョン&ダイバーシティ
労働安全衛生
2. 人権に関するイニシアティブへの参画
当社は、人権に関するさまざまなイニシアティブに参画しています。これらの活動を通じて得た最新の動向や事例をふまえ、グローバルな人権課題への取り組みの改善・強化に活かしています。
- 国連グローバル・コンパクト・ローカルネットワーク人権デュー・ディリジェンス分科会に、当社およびNEC Europeが参画
- 障がい者の活躍推進に取り組む国際イニシアティブ「The Valuable 500」への加盟(2019年)
- グローバルなICT企業の人権課題対応において豊富な支援実績を持つBSRの会員に加盟(2020年〜現在)
3. 人権に関する研修・啓発
当社は、人権尊重の担い手となるすべての役員・従業員に対して、人権尊重の意識の深化、グローバルな人権課題の動向への理解促進を図るため、研修をはじめとした啓発活動を実施しています。詳細はリンク先を参照ください。
3.1. 従業員向け研修
①人権方針の周知とビジネスと人権に関わる啓発
- 「ビジネスと人権」に関するWeb研修を実施
- NEC Europeが「Sustainable Procurement e-learning」を実施
労働安全衛生
②インクルージョン&ダイバーシティに関わる啓発
- 女性管理職候補者向けの育成プログラム
- 当社を含む4社で運営する「女性異業種交流会」
- 新入社員およびキャリア入社者研修、新任ピープルマネージャー研修、全社Web研修などにおいてアンコンシャスバイアスをコンテンツとして提供
- 「インクルージョン&ダイバーシティ研修」に関するWeb研修
- 統括部長以上向けI&D研修として(株)JobRainbowのD&I検定3級
- NECグループの女性主任・担当クラスを対象としたキャリアイベント「OneNECウィメンズキャリアフォーラム2025」
インクルージョン&ダイバーシティ
3.2. 調達取引先向け研修
- サプライチェーンにおける多様性の推進を目的とした「サプライヤーダイバーシティフォーラム」
- 国際機関や政府、業界団体などにより開催される「ビジネスと人権」に関するセミナーを調達取引先向けポータルサイトにて案内
苦情処理メカニズム
当社は、UNGPsをはじめ国際的な人権の原則に照らして救済を受ける権利を尊重し、人権侵害や侵害の恐れが発生したときに、迅速かつ正確な原因究明に基づく適切な対処によって、問題の是正に取り組みます。また、匿名で通報可能なステークホルダー向けの通報窓口を設置し、通報者や通報内容の秘密を適切に取り扱います。通報者に対する不利益な取り扱いや報復を禁止し、通報者の保護を徹底します。通報窓口は、NECグループの従業員だけでなく、お取引先、お客さま、地域住民などのマルチステークホルダーを対象としています。
また、苦情処理メカニズムのさらなる強化に向けて、一般社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)や法律家の団体であるビジネスと人権ロイヤーズネットワーク(BHRL)の活動により発足した、業界横断のイニシアティブである一般社団法人ビジネスと人権対話救済機構(JaCER:Japan Center for Engagement and Remedy on Business and Human Rights)にも検討段階より参加しています。
1. NEC Compliance & Integrity Hotline
2024年10月より、第三者機関NAVEXの通報システムを活用し、当社とそのお取引先の従業員などから通報を受け付ける新たなホットライン「NEC Compliance & Integrity Hotline」を開設しました。本ホットラインは、通報者の利便性を高めるため、従来複数あった国内外の通報窓口を一本化したもので、内部通報情報の一元管理を通じてグループ・ガバナンスの向上と通報対応品質の均質化に取り組んでいます。2025年度中にすべての国内・海外連結子会社とそのお取引先に対象を拡大しました。
通報者を保護する取り組みを進めるほか、匿名での通報も可能となっています。
詳細は下記を参照ください。
コンプライアンス(内部通報制度)
サプライチェーン・マネジメント
2. カスタマーコミュニケーションセンター(お客さま・地域住民のみなさま向け)
お客さまや地域住民のみなさま向けには、「NECカスタマーコミュニケーションセンター」が窓口となり、人権に関する通報を受け付けています。
NECカスタマーコミュニケーションセンターの活動について
カスタマー・リレーションシップ・マネジメント
3. ホットラインの稼働状況
2025年度はNEC Compliance & Integrity Hotlineに対し、ハラスメントおよび人間関係や職場環境などに関する相談が325件ありました。
同ホットラインに寄せられた相談に対しては、関連部門が連携して改善・解消を図るとともに、リスク・コンプライアンス委員会で報告し、再発防止に向けた意識向上を継続的に図っています。
なお、2025年度、NEC Compliance & Integrity Hotline、カスタマーコミュニケーションセンターへの強制労働や人身売買に関する通報件数およびJaCER経由での人権に関する通報実績は0件でした。
ホットライン相談・通報件数(データ集)
指標および目標
2026年度の目標
1. UNGPsに沿った「NECグループ人権方針」の見直し
2. 人権デュー・ディリジェンスの推進
- 人権デュー・ディリジェンス規程の策定
- 地政学的情勢や紛争影響をふまえた人権リスク:顧客デュー・ディリジェンスの継続対応
- 顕著な人権課題の定期的な見直し
インクルージョン&ダイバーシティ
労働安全衛生
AIと人権
サプライチェーン・マネジメント
3. NEC Compliance&Integrity Hotlineの認知度向上
2025年度の目標
1. グローバルな人権課題の最新動向に対する従業員の理解の促進
- (派遣および臨時従業員を含む)当社および国内関係会社従業員向け:ビジネスと人権に関するWeb研修の継続実施(目標修了率96%)
2. 人権デュー・ディリジェンスの推進
- UNGPsに沿った「NECグループ人権方針」の定期的見直しとNECグループへのさらなる浸透(目標読了率80%)
- 「NECコンプライアンスの日」に伴う人権をテーマにした社内啓発イベントの実施
- 地政学的情勢や紛争影響をふまえた人権リスク:顧客デュー・ディリジェンスの継続対応
- 顕著な人権課題の定期的な見直し
3. NEC Compliance&Integrity Hotlineの認知度向上
2025年度の実績
1. グローバルな人権課題の最新動向に対する従業員の理解の促進
- (派遣および臨時従業員を含む)当社および国内関係会社従業員向け:ビジネスと人権に関するWeb研修の修了率90.9%
2. 人権デュー・ディリジェンスの推進
- UNGPsに沿った「NECグループ人権方針」の定期的見直しとグループ内へのさらなる浸透(読了率90.9%)
- 地政学的情勢や紛争影響をふまえた人権リスク:顧客デュー・ディリジェンスの継続対応
- 顕著な人権課題の定期的な見直し